夏が始まる

放課後。図書室に向かう。 予想通り、星座の力を持ついつものメンバーが集合していた。 「みんな、あの予告状のようなカードは来ていたわね?」 めりの先輩が声を上げる。 「あれは|桃羽《ももは》が用意したもので間違いないわ。筆跡も一致するし」 「めりの、|星天祭《せいてんさい》、壊されちゃうのかな・・・」 |星華《せいか》先輩が不安そうに言う。 「昼間は星座の力は使えない。 学校行事を潰したら大きな問題になるし|十蟹《とがに》先生もそこはなんとかしてくれる。 だから決戦は夜よ!|星天祭《せいてんさい》は祭りとして楽しみましょう。 ・・そして、明日から夏休みなんだけど。 夏休み期間は夜の学校には入れない。 だとすると特訓できるのは流星群の日!」 流星群の日というのはこの町で大きな|流星群が降り注ぐ日。 そして、夏休みの中での登校日でもある。 午前中は通常の登校。夜の天体観測への参加は任意となっている。 「・・流星群の日ですか。それなら学校行事と言えば帰りが遅くても怒られることはなさそうです」 なおきくんがホッとしている。 私も似たような理由で帰りが遅いと困るから私も安心した。 「特訓って何をするんだ?」 「そうね・・|大河《たいが》は星座の力を持ってないから私が剣道教えようか?」 |大河《たいが》に|月華《つきか》先輩が声を掛ける。 そこに飛びついてきたのは・・やっぱり|流星《りゅうせい》くんだった。 「ま、ま、ま、待って!!!そこのお姉様はどなた様ですか!!俺のデータにないけど!!」 「私?私は|鏡宮月華《かがみやつきか》。ふたご座の力を持ってる。これで満足?」 「えーーーー!!!こんな綺麗なお方がいらっしゃったなんて、俺はなんて時間の無駄遣いを・・・」 |流星《りゅうせい》くんがハイテンションになっているところに|星華《せいか》先輩が入ってくる。 「えーっと・・。|月華《つきか》は|流星《りゅうせい》くんが入学したときは まだ不登校だったから、|流星《りゅうせい》くんのデータにないんじゃないかな。 あ、私は双子の姉の|星華《せいか》」 「お姉様、よろしくお願いします!!!」 |流星《りゅうせい》くんが|星華《せいか》先輩に深々とお辞儀をすると、|月華《つきか》先輩が|流星《りゅうせい》くんをぽかっと叩く。 「調子に乗ったら・・・シメるわよ・・」 「俺、本気ですから!!信じてください!!」 あんなに不機嫌そうな|月華《つきか》先輩は初めて見たかも。 そして|流星《りゅうせい》くんが|月華《つきか》先輩を気に入るなんて、これが一目惚れってやつなのかな? でも|流星《りゅうせい》くんって色んな女の子に目移りしてるから本気なのか分からないしなあ。 「はいはい、おしゃべりはあとにして。 |流星群の日はみんなで特訓よ!それじゃあ今日は解散。 と言いたいけど|稲荷《いなり》ちゃんは残ってちょうだい」 私はめりの先輩に名指しされてしまった。なんだろう。 |湊《みなと》くんは私を見て小さく手をふって図書室から出ていってしまった。 他のみんなが図書室から出たのを確認して、めりの先輩は私に近づく。 「|稲荷《いなり》ちゃん。私と|星華《せいか》と|月華《つきか》といっしょにカラオケ行かない?」 「カラオケ、ですか?」 「この間話そうと思ったんだけど、|瀬名《せな》くんたちがいて話せなくて。 都合が悪ければ無理にとは言わないわ」 「いいですよ!私カラオケ大好きなんです!楽しみにしてますね!」 「じゃあ、宿題も持ってきてね。流星群の日までに片付けるわよ。 私、1年の頃の成績は|瀬名《せな》くんと変わらないし、 不登校があって勉強が遅れている|月華《つきか》にも勉強教えてるから、腕の保証はする」 「やっぱり・・お勉強会なんですね。でもめりの先輩に教えてもらえるなら助かります!」 めりの先輩はスケジュールを書いたメモを私にくれた。 カラオケかあ。カラオケは大好き。 だけど、くるみちゃんと一緒に行くと くるみちゃんの声援が大きくて、いつからか行きづらくなったんだっけ。 ・・くるみちゃん、大丈夫かな。 そして、夏休みが始まる。