流星群の日-失恋-

「|大河《たいが》・・ごめん。私と友達でいてほしいの」 ほのかから言われた言葉は思ったよりも刺さった。 中庭の大きな樹に背中を預けてぼんやりする。 「なあ、樹。これが失恋ってやつか。俺どうしたらいい?」 「いいよ」とは言ったけれど 「嫌われなければ、友達でもお隣さんでもなんでもいいよ」 とも言ったけれど、そんな返答をした自分を責めそうになる。 最初から「近づけたらいいな」とか「お付き合いがしたい」とか そういう感情でほのかといたわけではない。 幼馴染でお隣さんで一緒にいることが当たり前になっていて 気づいたらほのかを見たらドキドキしたり ほのかが笑顔になるだけで嬉しくなっていた。 放っておけなくなっていた。 困らせたくなくて、言わずにいた。 星座の力をきっかけに、|湊《みなと》とほのかが知り合って それ以外の人たちとも話すようになって ほのかが遠くに行ってしまうような気がして 色んな思いが渦巻いた。 |湊《みなと》がほのかに告白したと聞いて 早く伝えなくちゃいけないと思って 自分の気持ちをほのかに伝えた。 でも伝えてよかったのか? 伝えても、伝えなくても、最初からほのかは|湊《みなと》が好きだったんじゃないか? 最初は|湊《みなと》の取り巻きに混ざって、|湊《みなと》を応援したり |湊《みなと》と話してみたいって言ったりしてたじゃないか。 結果なんて分かっていたようなものじゃないか。 「なあ、樹。俺、いつも通りいられたかな。ほのか、困らせてなかったか?」 樹は何も喋らない。喋れないから。 けど、風が吹いた。 葉が擦れる音がする。 話を聞いてもらえたような気がした。 「そっか、ありがとな」 泣いたり、怒ったりしない。 ほのかも返事するの大変だっただろうし。 ほのかに言ってしまった。 「友達でもお隣さんでもなんでもいいよ」 自分から言ってしまった言葉、自分で守らなくてどうする。 そして、友達でいてほしいなら、友達でいるしかない。 今の自分ができるのはそれだけだ。 —友達だから 「あー、夜の特訓。出るって言っちゃったし。 俺、星座の力持ってないから、剣道部から竹刀とか借りないといけないな。 剣道とかやったことないけど、先輩になんとか教えてもらおう」 大きな樹をじっと見上げる。 「樹、ありがとな、また顔出すわ」 中庭からは誰もいなくなった。 大きな樹が陽の光を静かに浴びている。